大広告時代

主に広告について思うことを語ります。その他ネット文化的なことなど。

カンヌ広告祭2018;オススメを語る

カンヌ広告祭は今年もアツかった。Twitterで紹介した私的オススメ集をここでもまとめておきます。

 


Tide | Super Bowl LII 2018 Commercial | It's a Tide Ad

言うまでもなくグランプリを受賞した、スーパーボールのクオータータイムショーにおけるTIDEのCM。ちなみにその枠はアメリカにおいて一年で最も注目度が高く、また放映料も劇的に高い。各ブランドのプライドを掛けた一種の闘いの祭のようなものとなっている。

Netflixの世界的人気ドラマの主役であるデイビッド・ハーバーを起用し、今までの人気で有名なCMは、「キャストの服が素晴らしくクリーンなので、実質全部TIDE(洗剤)のcmである」として有名どころをパクって乗っ取った。スーパーボールクオータータイムcm闘争の歴史を覆した。これはSNSにおいて凄まじい話題を起こし、ユーザー達はあらゆるブランド、CMに対して「これも #TideAD では?」というインターネットミームを発生させ、同ハッシュタグは45,000回も使用された。

後のクオーターでも、2010年にカンヌでグランプリを取り、長く愛されてきたオールドスパイス(デオドランド)のCM、昨2017年のスーパーボウルで最高に話題となったバドワイザーとMr.CleanのCMを完全に乗っ取り、最後はアメリカにおいてかなり凝り固まっている医薬外部品のCM表現を用いて、このテニスプレイヤーの老人たちもユニフォームがキレイなのでTIDEのCMと言い切った。

かつてないブランド戦略によってスーパーボールCM闘争の歴史を覆した。

 

…以下は短くまとめます。すいません。

 


HomePod — Welcome Home by Spike Jonze — Apple

apple社による映像の暴力。空いた口が塞がらない。当時のジャミロクワイの例のpvとかこんな衝撃だったのかなあなんて思った。

こういった商品説明無しに商品購入欲を高めるのが、appleは上手いと思う。

 


Candide Thovex - quattro 2

映像の暴力その2。この手の「CG?実写?いや、フィルム?」的な担当ってトランスフォーマーとかマッドマックスとかの立派な映画畑がやってればよかったのに、Audiお前…。Audiは確かに広告に多大な力を注ぎ込んでいて、ユニークな映像や挑戦的試みを多くしてきたけど、ここまで映像に本気だとはちょっと思ってなかった。

 


DEISEL - GO WITH THE FAKE

有名ブランドD"EI"SELのハイパーユニークな作戦。この手のやり方ってNIKEとかメルセデスが得意だと思ってたんだけど、DIESELは一日にしてこの分野において成し遂げた。

こういった簡単かつ奇想天外なアイデアが今のブランディングには試されているのかなあと。

 


Lacoste x Save Our Species

社会貢献シリーズ。

(日本の企業はあまりやらない)大手ブランドが行う社会的責任に対しての実行みたいなものの極端な例。ラコステの自ブランドに対する究極の愛を感じる。

 


My Line powered by Google

社会貢献シリーズ。

Googleは世界を牛耳ろうとしてるのではなく、ファミリーにしようとしていることの裏付け的な企画。これぞまさにGoogleしかできない。

こうした意味で世界を補完しているなら安心ができる。

 


THIS COKE IS A FANTA

社会貢献シリーズ。

世界中にあって、世界中で売れてて、世界中に愛されてるコカ・コーラ社だからできるバイアス排除。なおかつ、自社ブランドのラインナップが豊富で人気だからこそできるブランディング

ちなみにコカ・コーラのブランド数は世界において日本が最多で、なんと概算26種。

 


Nissan Saudi Arabia Surprises Saudi Women

社会貢献シリーズ。

世界には驚くほどの差別がいっぱいあって、日々解決に向かって惜しみない努力が行われている。中東において女性は車を運転できない、なんていう近代的な差別の撤廃を進めるのはなんと日本発の自動車メーカー日産。

見ていて、制作陣の作成時の楽しささえ伺える。

 

 

 


Budweiser | Tagwords

これはもう史上最高にクール。日本ではあまり馴染みがないビールかもしれないが、バドワイザーがいかに大衆と供に良い形で在ってきたかが容易に想像できる。

広告ってシンプルに体験であるのが最も訴状力は強いと思うんだけど、これはその最高例。特に解説は必要なく、やはりシンプルにバドワイザーが飲みったくなって来ませんか?

 

 

 

 


さけるグミVSなが~いさけるグミ【第1話】デート~運命の歯車が動き出す~

最後に僕は日本が大好きなのでこのCMを紹介します。

これ何が面白いかって、日本人にしか分からないと思うんですよね。しかもこの昼ドラ的面白さなんてきっとギリギリ90年代に生まれた人までしか多分分からない。それでもFilm部門銀賞を取ったのが、絶対的な面白さの裏付けだとも思います。

みんながcmを見て「面白いな、これ」と思ったら監督は佐藤渉だと思っていいと普段から僕は思っていますが、より一層自信を持って言えるようになりました。

 

 

というわけで広告に求められるバイアス排除、差別撤廃の訴えといった社会的責任の行使は年々求められていますが、今年はより一層強くメッセージを感じたなあと思いました。それだけ人は多様化していって、そのことにみんなが気づき始めているということでしょうか。